序文
地理情報システム (GIS)のすばらしい世界へようこそ! Quantum GIS (QGIS) はオープンソースの地理情報システムです。 このプロジェクトは2002年5月に開始 され、同じ年の6月 SourceForgeのプロジェクトを立ち上げました。 (かつては高価で独占的ソフトであった)GISソフトウェアを作成する作業は困難を伴いました。このソフトウェアはだれでもパーソナルコンピュータを使って地理情報に関する基本的作業に使う有効な手段になります。QGISは多くのUnix,Windows,OS Xで動作します。QGIS は Qt toolkit (http://qt.nokia.com) と C++ で開発されています。これによってはQGIS は軽快で使いやすいグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を利用できるようになりました。
QGISはGISの一般的は機能や特徴をそなえた使いやすいシステムになることをねらってます。 最初のQGISの開発目標はGISデータの表示システムでした。多くの人がGISのデータを見たいという要求を持っていたのでこの目標は達成されました。QGISは多くの種類のラスタデータとベクタデータをサポートします。またプラグイン方式を利用することで新たなデータ形式に簡単に対応できます。 (AppendixA参照 現在サポートされて いるすべてのデータ形式のリストがあります).
QGISは GNU General Public License (GPL)でリリースされています。 QGIS はこの ライセンスで開発されているのであなたはソースコードを調べたり改造することが できます。いつでも無料でGISプログラムにアクセスでき、自由に改造できます。 その場合QGISのライセンスの全てを適用する必要があります。ライセンスの詳細は Appendix Cを参照してください。
特徴
QGIS は通常のGISの機能を本体のコア機能と多くのプラグインで提供してます。 ここでは簡潔に6つのカテゴリーに分けて特徴を説明します。
データを見る
異なる形式、投影法のベクタ、ラスタデータを内部形式に変換することなくそのまま 閲覧したりオーバーレイ表示することができます。 利用できるデータ形式は以下の通りです:
- PostGISを利用したPostgreSQLの空間拡張, OGRライブラリによるベクター形式 ここには ESRI shapefiles, MapInfo, SDTS と GMLが含まれます。 (全リストはAppendix A.1 を参照) .
- ラスタとイメージ形式はGDAL (Geospatial Data Abstraction Library) ライブラリでサポートされているものが利用できます。たとえばGeoTiff, Erdas Img., ArcInfo Ascii Grid, JPEG, PNG 等です (全リストは Appendix A.2 を参照
).
- SpatiaLite データベース (セクション3.3を参照)
- GRASS データベースのGRASS ラスタとベクタ (location/mapset)、 セクション7参照,
- OGC対応のオンライン空間データサービス。 Web Map Service (WMS) または Web Feature Service (WFS),
5参照,
- オープンストリートマップデータ (セクション 10.14)参照.
データの検索と表示地図の構成
表示地図の構成と空間データの検索のために使いやすいグラフィカルユーザーインターフェースを使えます 多くの便利なツールがグラフィカルユーザーインターフェースに含まれています:
- 実行時投影機能(オンザフライプロジェクション)
- マップコンポーザ
- オーバービュー表示パネル
- 空間ブックマーク
- 地物の特定・情報表示/選択
- 属性の編集/表示/検索
- 地物ラベル表示
- ベクタ/ラスタデータの表示方法変更
- fTools プラグインによるメッシュ/グリッドレイヤ作成機能
- 地図の整飾機能(北向き矢印、スケールバー、著作権表示)
- プロジェクトの保存と呼び出し
データの作成、編集、管理と出力
様々な形式のベクタ形式地図を作成、編集、管理出力することができます。ラスタデータは GRASSにインポートして編集できます、また他の形式で出力できます。 QGISでは以下のことができます:
- OGRでサポートされている形式とGRASSベクタレイヤの地物をデジタイズするツール
- shapefiles とGRASS ベクタレイヤの地物を作成、編集するツール
- Georeferencer プラグインを利用してイメージに空間座標を付加する機能
- GPSツールでは GPX 形式データのインポートとエクスポートができます。また他のGPS形式データのGPXへの変換やデータをGPSユニットへ 直接ダウンロード、アップロードすることが可能です (Linux版では, usb: がGPS機器リストで追加されました)
- オープンストリートマップデータを表示、編集できます
- SPIT プラグインを利用するとshapefilesから PostGIS レイヤを作成できます
- PostGISのテーブル操作機能が改良されました
- 新しい属性テーブル機能(セクション3.5.6参照)かテーブルマネージャプラグインでベクタデータの属性テーブルを操作できます
- 空間参照情報付きのスクリーンショット機能
データ解析
fTools python pluginを使うとPostgreSQL/PostGIS やOGRでサポートされるデータ を使った空間解析を実行できます。QGISはベクタ解析、サンプリング、空間解析 空間データとデータベース解析のツールを提供しています。 また300モジュールにおよぶGRASSのツールを利用してデータ解析を行うことが できます (セクション7参照)。
インターネットへの地図公開
QGISではUMN Mapserver用のマップファイルを作成できます。このマップファイルと WEBサーバー、UMN Mapserverを利用してインターネットに地図を公開できます。 さらにQGISはOGC規格のインターネット地図サービスであるWMS や WFS のクライアント 機能があります, また WMS serverの機能があります。
プラグインを使ったQGIS機能の拡張
QGISではプラグインアーキテクチャーで個別の機能拡張要求に対応できます。 QGISで提供するライブラリを利用してプラグインを作成することができます。 またC++言語かPythonスクリプトを利用して新たなアプリケーションを作成 することもできます!
コアプラグイン
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1.
- デリミテッドテキストレイヤの追加 (x,y座標をフィールドに持つデリミテッドテキストファイルをロードして表示します)
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2.
- 座標入力 (マウス座標を異なるCRSで取得します)
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3.
- 整飾 (著作権ラベル、北向き矢印とスケールバー)
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4.
- ダイアグラムオーバーレイ (グラフをベクタレイヤに重ねて表示します)
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5.
- Dxf2Shp コンバーター (DXF を Shapeに変換します)
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6.
- GPS ツール (GPS データのロードとインポート)
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7.
- GRASS (GRASS GIS の統合)
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8.
- ジオレファレンサー GDAL (GDALを利用して投影情報をラスタに付加します)
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9.
- 補間プラグイン (ベクタレイヤの頂点群を補間します)
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10.
- Mapserver エキスポート (QGIS プロジェクトファイルをMapServerのマップファイルとして出力します)
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11.
- OGR レイヤコンバータ (ベクタレイヤの形式を変換します)
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12.
- OpenStreetMapプラグイン ( openstreetmap データのビューワとエディタ)
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13.
- Oracle Spatial GeoRaster サポート
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14.
- Python プラグインインストーラ(QGIS python プラグインをダウンロードしてインストールします)
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15.
- クィックプリント (最小限の手順で地図を印刷します)
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16.
- Raster 領域解析 (Raster ベースの領域解析 )
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17.
- SPIT (Shapefile をPostgreSQL/PostGISにインポートします)
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18.
- WFS プラグイン (WFS レイヤを QGIS キャンバスに追加します)
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19.
- eVIS (イベントビジュアライゼーションツール)
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20.
- fTools (ベクタデータの解析と管理ツール)
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21.
- Python コンソール (QGIS 環境へのアクセス)
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22.
- GDAL ツール
外部 Python プラグイン
コミュニティによって提供されているQGIS python pluginの数が増加しています。それらのプラグインは公式なPyQGISリポジトリにおいてあります。 python plugin installerを利用するとそれらのプラグインは簡単にインストールできます(セクション
9参照)。
バージョン1.6.0の新機能
このリリースは私たちの’最先端’リリースシリーズであることに注意して下さい. QGIS1.0.xとQGIS1.5.0に対して新しい機能やプログラムインターフェースの拡張が加えられています.私たちは以前のリリースよりこのバージョンを利用することを推奨します。
このリリースは117個以上のバグ修正と多くの機能追加、拡張がなされました。
一般的な改善
- gpsライブトラッキングにgpsdのサポートを追加しました。
- オフライン編集が実行できる新しいプラグインが追加されました。
- フィールド計算機はエラーが発生した場合に停止して全ての地物の計算を元に戻すのではなくNULLの地物を挿入します。
- srs.dbはグリッド参照を追加して更新されました。
- C++を利用したネイティブラスタ計算機が実装されました.これは効率的に巨大ラスタを扱います。
- ステータスバーの領域ウィジェットでテキストのコピーアンドペーストができるように改善されました。
- フィールド計算機には多くの改善と新しい演算子が追加されました.それにはフィールドの連結や行数カウンタ等が含まれます。
- –configpathオプションが追加されました.これはユーザ設定とQSettingsのデフォルトパス(~/.qgis)をこのディレクトリでオーバーライドします.これによってユーザはたとえばQGISのインストールを全てのプラグインと設定情報と一緒にフラッシュドライブで持ち運ぶことができます。
- 実験的なWFS-Tサポート.ネットワークマネージャにwfsが追加で移植されました。
- ジオレファレンサに多くの整理と改善が加えられました。
- long int型が属性ダイアログとエディタでサポートされました。
- QGIS MapserverプロジェクトがメインSVNレポジトリに統合され,パッケージが利用可能になりました.QGIS MapserverではQGISのプロジェクトファイルを使ってOGC WMSプロトコルの配信ができます。
- 選択と計測ツールバーがフライアウトとサブメニューになりました。
- 空間情報が無いテーブル(OGR,デリミテッドテキスト,PostgreSQLプロバイダ)のサポートが追加されました.これらのテーブルはフィールドの検索,閲覧,編集がテーブルビューで行えます。
- 検索に地物のid($id)が利用できるようになりました,また他の多彩な検索関係機能が改善されました。地図のレイヤとプロバイダインターフェースのリロードメソッドが追加されました.同じようにキャッシングするプロバイダ(現在はWMSとWFS)でデータソース内の変更と同期する機能が追加されました。
コンテンツテーブル(TOC)が改良されました
- ラスタ凡例メニューに新たなオプションが追加されました.これはカレントレイヤを現在の領域のピクセルの最小値,最大値で拡張します。
- TOCのコンテキストメニューの'名前をつけて保存'のオプションでOGR作成オプションを選択できるようになりました。
- TOCで複数のレイヤを一度に選択,削除,移動できるようになりました。
ラベリング(新機能のみ)
- ラベルの位置をデータで定義できるようになりました。
- ラインの被覆.フォントと縁取りの設定をデータで定義できるようになりました。
レイヤプロパティとシンボロジー
- グラデーションレンダラ(バージョン2)に3個の新しい分類モードが追加されました.自然なブレーク(Jenks) 標準偏差 プリティブレーク(R統計環境のprettyにもとづく).
- シンボルプロパティダイアログのローディングスピードが改善しました.
- レンダラの分類とグラデーションでデータ定義の回転とサイズが利用できます(新シンボロジ).
- ラインシンボルでもラインの幅を修正するためにサイズスケールが利用できるようになりました.
- ラスタヒストグラムがQwtを利用したものに置き換えられました.イメージファイルとしてヒストグラムを保存するオプションが追加されました.ラスタヒストグラムのx軸にピクセルの実際の値が表示されます.
- ラスタレイヤプロパティダイアログに透過性テーブルを定着させるためにキャンバスからピクセルを対話式に選択する機能が追加されました.
- ベクタカラーランプコンボボックスを使ってカラーランプを作ることができるようになりました.
- シンボルセレクタに'スタイルマネージャ...'ボタンが追加され,ユーザはスタイルマネージャをさらに簡単に見つけることができるようになりました.
マップコンポーザ
- コンポーザアイテムの幅/高さをポジションダイアログで操作する機能が追加されました.
- コンポーザアイテムがバックスペースキーで削除できるようになりました.
- コンポーザ属性テーブルのソート機能(それぞれのカラムで昇順/降順).