このセクションではラスタレイヤーの表示及びプロパティの設定方法を述べます。 QGISはさまざまなラスタデータのフォーマットをサポートしています。 現在テスト済みであるフォーマットは以下のとおりです:
QGISにおけるラスタデータの実装はGDALに基づいているので、GDALで実装されているその他のフォーマットでも動作する可能性は高いですが、 疑わしい場合はサンプルデータを開いてみて、サポートされているかどうかを確認してみてください。 GDALがサポートしているフォーマットについてのより詳細な情報については、付録A.2 またはhttp://www.gdal.org/formats_list.html を参照してください。 GRASSラスタデータの読み込みについては 7.2を参照してください。
GISにおけるラスタデータとは、離散的セルに分割された行列形式のデータで、 それによって地球表面上もしくは地表面下の地物を表現しているものです。 ラスタ格子の各セルは全て同じ大きさであり、また通常セルは矩形です(QGISでは必ず矩形になります)。 代表的なラスタデータセットとしては、航空写真や衛星画像などのリモートセンシングデータや、 標高マトリックスのようなモデルデータがあります。
ベクタデータとは異なり、ラスタデータは通常一つ一つのセルがデータベースのレコードに関連付けられているということはありません。 ラスタデータは地上解像度およびラスタレイヤーの角のピクセルのx/y地上座標によって座標値が決定します。 これにより、QGIS上でデータを正しい位置に表示することができます。
QGISでは正しくデータを表示するために、地理参照情報としてラスタレイヤー内で定義されているもの(例.GeoTiff)か、もしくは適当なworldファイルを利用することができます。
ラスタデータを読み込むには、ツールバーから [ラスタレイヤの追加]アイコンをクリックするか、メニューバーの[レイヤ]から [ラスタレイヤの追加]オプションを選択して下さい。 GDALのサポートするラスタデータソースを開く ダイアログでコントロールまたはシフトキーを押したまま複数の項目を選択することで複数のレイヤを一度に読み込むことができます。
ラスタデータがロードされ凡例画面に表示されたら、マウスの右クリックでレイヤー名を選択してレイヤー選択・アクティブ化し、固有の機能を実行したり、 レイヤーに対するラスターデータプロパティを設定するダイアログを開いたりすることができます。
ラスタレイヤーのプロパティを確認、設定するには、凡例画面からレイヤー名をダブルクリックするか、右クリックして表示されるコンテキストメニューから プロパティ ▸を選択します。 図 4.1 は ラスタレイヤプロパティ ダイアログです。ここにはいくつかのタブがあります:
QGISはラスタレイヤーを異なる2つの方法で描画することができます :
いずれの表示法においても、Invert color map チェックボックスにチェックを入れるとカラーを反転します。
このセクションでは2つの方法を提示しています。最初の方法は描画するバンドを選択できる方法です(データセットが複数のバンドを持っている場合)
2つめのオプションは用意されている描画用カラーテーブルを選択する方法です。
以下の設定は カラーマップ グレイスケール ドロップダウンボックスで利用できます。グレイスケールはデフォルトの設定です。 さらに以下のものが利用できます
カラーマップ エントリを選択した時に カラーマップ タブが利用可能になります。詳細情報は4.3.3章を参照して下さい。
QGISでは、レイヤー全体のピクセルの平均値から指定した標準偏差の範囲にあるピクセルのみを表示するように制限することができます。 異常な値のピクセルが1、2個あってラスタデータを描画するのに不都合が生じるような場合に有用です。 このオプションは擬似カラー表示のときのみ選択可能です。
3バンドカラー表示ではラスタレイヤーの見た目を調整するための広範な選択肢が用意されています。 例えば、通常のRGBの順番でバンドが割り当てられているのを入れ替えたりすることができます。
同様に色のスケーリングが可能です。
QGISはラスタレイヤーに対して透過レベルを調節して表示する機能を備えています。 現在のレイヤーを透過してその下にあるレイヤー(あれば)がどの程度見えるようにするかを示すには、transparencyスライダを利用します。 この機能は、例えば陰影表現された地形図上に分類画像をオーバーレイした場合のような、複数のラスタレイヤーをオーバーレイしたときに非常に有用です。 このような利用法によって、地図をより立体的な見た目にすることができるでしょう。
さらに、NODATAとして扱いたいピクセル値を指定することもできます。 この作業は手動 Add values from display アイコンを利用して実行できます。
Custom transparencyオプションの項目ではより柔軟な透過の設定を行うことができます。 全てのピクセルの透過率はこのタブで指定することができます。
例として、サンプルラスタファイルのlandcover.tifの水域を透過率20%に設定したいとします。 その場合、以下のステップを実行してください:
4 と 5のステップを繰り返すことで、その他のピクセル値に対してのカスタム透過率の設定を追加することができます。
以上からわかるとおり、カスタム透過率の設定は非常に簡単ですが、大変手間のかかる作業でもあります。そこで [ファイルにエクスポート]ボタンによって透過率設定リストをファイルに保存することができるようになっています。 [ラスタレイヤの追加]ボタンで透過率設定ファイルを読み込んで、現在のラスタレイヤに適用することができます。
[カラーマップ]タブは[シンボロジー]タブで[表示形式]を単一バンドに選択した場合のみ有効です。( 4.3.1 章参照).
3通りの色補間方法が利用できます:
[エントリを追加]ボタンを使うと個別にカラーテーブルに色を追加できます。値のカラムをダブルクリックすると指定の値を入力できます。色のカラムをダブルクリックするとSelect Color 画面が開いて色を選択して値に適用できます。
別の方法として [バンドからカラーマップをロード]ボタンをクリックしてテーブルを指定バンドから(もし持っていれば)ロードすることができます。
このブロックでは新しい分類されたカラーマップを作れます。エントリーの数15を入力して[分類]ボタンをクリックするだけでカラーマップが作れます。現在分類モード では等間隔のみがサポートされています。
The 一般情報 タブには選択されたラスタの基本的な情報が表示されます。そこにはレイヤのソースと凡例に表示される名前(これは変更化可能です)も含まれます。このタブではレイヤのサムネイルも表示されます。それは凡例のシンボルに使われます。あとパレットも表示されます。
さらに、縮尺に応じた表示設定を行うことができます。 チェックボックスにチェックを入れ、レイヤーがキャンバスに表示される適当な縮尺を入力します。 (訳注:レイヤーが表示される最小縮尺と最大縮尺を入力します。キャンバスの表示縮尺がその範囲内のときだけレイヤーが表示されるようになります)
同様に、PROJ.4形式での空間参照情報についてもこのタブで表示されます。 Changeを押すことで修正することも可能です。 Change ボタンを押すことで修正することも可能です
メタデータ タブでは現在のラスタレイヤーの各バンドの統計情報など、ラスタレイヤーに関する多くの情報を表示します。 統計情報は’必要なときに収集#8217;されるので、レイヤーの統計情報が未収集である可能性もあります。 (訳者補足:統計情報は、カラーマップの作成やヒストグラムの表示など、プログラム側が統計情報を必要とするときに初めて収集されます。)
このタブはもっぱら情報表示用であり、値の変更を行うことはできません。 統計情報を更新するには Histogram タブの右下のほうにある Refresh ボタンを押します。 4.3.7を参照してください。
高解像度のラスタレイヤーはQGIS上での表示が遅くなってしまう可能性があります。 そこで、より低解像度のコピー画像群(ピラミッド)を作成すると、QGISはズームレベルに応じて適切な解像度のコピー画像を選択して表示するので、パフォーマンスを大幅に改善することができます。 of zoom.
ピラミッドを作成するには、オリジナル画像があるディレクトリへの書き込み権限を持っている必要があります。
ピラミッド画像を生成する際に用いるリサンプル方法としては、以下の計算法を利用することができます
Build pyramids internally if possible チェックボックスにチェックを入れると、QGISは画像ファイル内部へのピラミッド画像の書き込みを試みます。
ファイル内部へのピラミッド画像書き込みを選択した場合は、オリジナルのデータファイルを上書きします。また、作成されたピラミッド画像は消去することができませんので、注意してください。 ’’ノンピラミッド’画像を保持しておきたい場合は、ピラミッド画像を作成する前にバックアップを作成しておいてください。
The ヒストグラム タブではラスタデータの色やバンドの分布状況を閲覧することができます。 まず最初に Refresh ボタンを押して、ラスタデータの統計情報を取得する必要があります。 タブ内にある左下のリストボックスからヒストグラムを表示するバンドを選択することができます。 ヒストグラムのグラフは、2種類の表示方法を選択することができます:
ヒストグラムの表示では、グラフの横軸のカラム数を設定することができます。また、 Allow approximation を許可するか、 out of range を表示するかどうかを選択することができます。 ヒストグラムがひとたび作成されると、 metadata タブの、バンド統計情報に反映されていることが確認できます。
レイヤ メニューの ラスタ計算機 を利用するとラスタのピクセル値を利用して計算を行うことができます。計算結果はGDALでサポートする形式の新しいラスタレイヤとして書き込まれます。
フィールドリストには読み込まれていて利用可能なラスタレイヤのリストが表示されます。ラスタ計算機の計算式にフィールドリストにラスタを追加するためにはフィールドの名前をダブルクリックして下さい。計算式に演算子をボタンで追加するかボックスにタイプ入力することができます。
結果レイヤ セクションでは出力するレイヤを定義できます。また入力ラスタレイヤ計算を行う領域を、出力レイヤのX,Y座標値,属性カラムと行、解像度を設定できます。入力レイヤが異なる解像度の場合、値は最近傍アルゴリズムでリサンプリングされます。
The 演算子セクション にはすべての利用可能な演算子が含まれます。ラスタ計算機の計算式ボックスに演算子を追加するためには その演算子の対応するボタンをクリックして下さい。算術計算 ( + , - , * …) と三角関数 ( sin, cos, tan, …) が利用可能です。 さらに演算子を増やしましょう!
Result to project チェックボックスを利用すると演算結果の例やが自動的に凡例エリアに追加され計算結果を見ることができます。